(け) 建国記念の日を記念して「建国の精神について」学んできたことをまとめる@東京竹田研究会

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昨日書いた書評の関連&建国記念の日スペシャルということで。

去る2月4日、三田の慶応大学で行われた東京竹田研究会に参加したときに竹田恒泰氏の講座を受けた。
そこで聴いた話が非常に勉強になったのでそのときのメモを元にまとめたものを今回紹介しようと思う。

建国の精神について」と題し、建国が我々にとってどういう意味を持つかといったことが中心だった。

祝日は国柄を表す

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本日2月11日は建国記念の日だ。建国記念の日をはじめとするこうした祝日は日本だけでなく欧米諸国にもあるが、祝日というのはたいていその国の国柄を表すものなのだそうだ。

アメリカを例にとると、独立記念日(7/4)は建国を祝し、クリスマス(12/25)はキリスト教の主たるイエスの降誕を祝う宗教のお祭りだ。

このように祝日は建国や宗教などその国の国柄を表しており祝日を見ればその国の国柄がわかるらしい。

翻って我が国の祝日(以下は本年の分)を見てみると、

元日 1月1日
成人の日 1月14日
建国記念の日 2月11日
春分の日 3月20日
昭和の日 4月29日
憲法記念日 5月3日
みどりの日 5月4日
こどもの日 5月5日
海の日 7月15日
敬老の日 9月16日
秋分の日 9月23日
体育の日 10月14日
文化の日 11月3日
勤労感謝の日 11月23日
天皇誕生日 12月23日
via: 国民の祝日について – 内閣府

以上15日ある。

元日→四方節・歳旦祭(宮中行事)
成人の日→元服の儀(新道行事)
建国記念の日→初代神武天皇即位・旧紀元節
春分の日→春季皇霊祭
昭和の日→昭和天皇の誕生日
憲法記念日→日本国憲法施行(1947年)※天皇の国事行為
みどりの日→旧昭和の日
こどもの日→端午の節句(新道行事)
海の日→明治天皇の東北地方行幸
敬老の日→旧としよりの日
秋分の日→秋季皇霊祭
体育の日→東京オリンピック開会式(1964年)
文化の日→日本国憲法公布(1946年)※天皇の国事行為
勤労感謝の日→新嘗祭
天皇誕生日→天皇誕生日

ざっくりと以上のようなルーツがあることから、特に天皇・皇室との関わりが深いことがわかる。

建国の精神と憲法第一条

建国にはストーリーがあり、建国に際してはそれぞれの国に建国の精神がある。各国はどのような国を建てようとしたのか。

例えばアメリカの建国の精神は「Freedom(自由)」であり、究極的には宗教上の自由だった。独立戦争も宗教戦争のひとつに数えられている。
その自由は後に南北戦争・奴隷解放宣言を経て議会制民主主義という形に発展する。

またフランスの建国の精神は「平和・平等・博愛」であり、このうち「平等」が大きなウエイトを占める。フランス革命は当時あった立憲君主制のもとでの絶対王政に反発する市民革命だ。
フランスはこれを契機に立憲君主制から共和制へと移行していく。

建国の精神は通常その国の憲法第一条に書かれる

例えばアメリカ合衆国憲法第一条には「議会制民主主義の理念」が書かれておりアメリカ連邦議会の構成について、また宗教の自由についても謳われている。

またフランス共和国憲法第一条は「法の下の平等」などが謳われている。

また中華人民共和国の建国は国共内戦で中国共産党・中国人民解放軍が中国国民党率・中華民国国軍勝利したところから始まる。
中華人民共和国憲法第一条を見ると「中華人民共和国は人民民主主義独裁の社会主義国家を目指す」と記載されている。建国のストーリーから見るに「中国共産党による人民民主主義独裁の社会主義国家を目指す」ということだろう。

こうして比べてみると様々に違いがあるものである。

日本の建国の精神と日本国憲法第一条

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月岡芳年「大日本名将鑑」より「神武天皇」

日本の建国は古事記・日本書紀によると、皇紀元年(紀元前660年)2月11日、神武天皇の即位をもって始まる。以後現在まで125代の天皇が続き、国号・国体は変わることなく2673年、現存する国家の中で世界最古の国家を守り続けている。

日本国憲法 - 無料写真検索fotoq
photo by Francisco Javier Argel

各国の例に倣って憲法第一条を見ると、日本国憲法第一条にはこのように書かれている。

第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、 主権の存する日本国民の総意に基く。
via: 第1条 天皇の地位、国民主権 / はじめての日本国憲法

この条文は君主たる天皇と国民たる我々の「」を示すものだという。

「和」が協調であるのに対し、「同」は妥協であって、協調と妥協は同じようで実は全く異なる。
via: (け) [書評] 日本がイチバン?「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」

「和」について以前、日本は和の精神を重んじる国だと紹介した。
「和」にもいろいろあるが日本固有とも言われるのが「君民の和」だ。

天皇御所と君民の和

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photo by tosimisi

現在の皇居は旧江戸城だが、元々皇居は京都御所にあった。
その京都御所、実はお堀も石垣もない。兵士が駐屯するスペースさえなかったという。各国の王の住まいと比較すると非常に不思議なことである。

各国の王は通常、堀を巡らせ高い城壁を持った城に住むものだ。なぜなら国民の反乱があった場合、自らの身を守るためである。
通常、君(王・君主)と民は常に対立関係にあった。だから君主が統治を誤れば民衆が君主を倒し、そのたびに王朝が交代した。

天皇の住まいが堀も石垣もないということは各国の王侯将と同様に国民から襲われる危険性もあったわけで皇統が途絶えてしまっていても不思議ではないが、現在125代まで連綿と続いている。
これは国民が天皇を襲うことがなかったということであり、天皇と国民には通常の君と民にあるような対立関係にはなかったことへの証明ともいえる。この例は世界的にも非常に珍しいものだ。

このように君と民が一体となった姿が日本の国体・国柄である(君民一体)。

君民の和と主権者

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国民主権という言葉がある。日本国憲法にも国民主権が謳われている。
日本国憲法における国民とはまぎれもなく我々日本国民のことだが、主権とはなんだろう。

主権とは国の政治のあり方を最終的に決める力であり、我々国民は選挙の投票という形で国民の代表者たる議員を選び、彼らの合議で政治が行われている。国民は国民の代表を選ぶという形で間接的に政治に参加していることになる。

といっても、我々国民(議員も含む)は法律を作ることができない。もっと言うと法律の中身は作れるが、法律そのものは作れない。どういうことか。

法律は法律案という形で国会に提出され、衆参両院の可決をもって法律となる。しかしこの時点ではまだ法的な拘束力を持っていない。
天皇による公布を経て法的な拘束力が発効することになる。

「公布」は、成立した法律を一般に周知させる目的で、国民が知ることのできる状態に置くことをいい、法律が現実に発効し、作用するためには、それが公布されることが必要です。
via: 法律の原案作成から法律の公布まで / 内閣法制局

法律を公布するのは誰あろう、天皇の国事行為である。

このように法律の制定は国民と天皇の共同作業であり、君民が協力して政治が行われているという例のひとつである。

 1号 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
 2号 国会を召集すること。
 3号 衆議院を解散すること。
 4号 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 5号 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
via: 第7条 天皇の国事行為 / はじめての日本国憲法

以上のように国事行為が政治に関わる場面は多々ある。
このように日本では君と民が共同して政治を行なっている

仮に国の政治のあり方を最終的に決める力を主権と呼ぶのなら、日本は国民単体でも、天皇単体でもその主権は行使できないことになる。すなわち日本国の主権者は(天皇と国民双方から成る)君民協治にあるともいえる。天皇と国民双方が揃って初めて主権が行使できることになる。

大日本帝国憲法から引き継がれた第一条

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憲法発布略図 明治22年 橋本(楊洲)周延画

日本国憲法の第一条は大日本帝国憲法のそれの焼き写しといわれる。

大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス
via: 憲法条文・重要文書 | 日本国憲法の誕生

この「統治ス」の「統治」は現在使われる統治の意味とは似て非なるものだ。

大日本帝国憲法起草の中心となった伊藤博文は「憲法義解」という大日本帝国憲法の解説書の中で、「『しらすとは即ち統治の義に外ならず」と書いている。

伊藤博文は大日本帝国憲法起草にあたり諸外国の憲法や古事記・日本書紀といった日本固有の文献にも触れ、憲法義解の中で「豊葦原之千秋長五百秋之水穂の国(日本国)は、我が子、正に勝吾勝勝速日天忍穂耳命が知らすべき国である」という天照大御神の勅を引いている。

知らす」とは天皇が広く国の事情をお聞きになり、ご存在あそばすことによって、自然と国民が統合され国が統合されていくことを意味する。これは前に書いた憲法第一条で「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」という部分に合致する。象徴であるから天皇自体に権力はないが、後述する権力の裏付けとなる権威を天皇が備えていることを意味する。

また「知らす」には「君は百姓をもって本とする」国民本位の天皇の姿も込められており、「支配し治める」という本来の統治の意味とは異なるものがある。
「知らす」には日本国民の幸せを祈る天皇の存在そのものを指しているともいえる。

「知らす」と「うしはく」

前述のとおり、天皇は知らす存在である。古事記には「知らす」に対照される言葉として「うしはく」という言葉が書かれている。

うしはくとは統治の際に発生する権力」のことを指す。「うしはく」者とはその権力の最高責任者であり、現在では内閣総理大臣がこれにあたる。
この「うしはく」存在、ある時代には摂政関白、またある時代には征夷大将軍と名や役割を変えてきた。
しかしこれらに等しく共通するのは「天皇の任命を受けてきた」ことである。内閣総理大臣も天皇の任命によってその権力を発揮することになる。

天皇自身が権力を行使したことはほとんど例がなく、たいていは「うしはく存在を天皇が任命する形式をとってきたといえる。

おわりに

天皇の誕生から始まる日本の建国に天皇・皇室は欠かすことのできない存在である。そして天皇の存在を裏付ける古事記や日本書紀といった神話は大切にされるべきもので、建国記念の日に建国の歴史・精神を学ぶのにこれ以上の本はない。

入門的には前回紹介した「日本人はなぜ日本のことを知らないのか」が相応しい。古事記や日本書紀の記述を載せた中学向けの建国の教科書が付録になっているので、特に子どもが読むには最適だろう。

今や古事記・日本書紀はWEBやiPhoneアプリでも読める時代なので目を通してみるのも建国記念の日らしい過ごし方かなと思う。

参考: 古事記物語へようこそ!

参考: 日本の神話 古事記

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via: 竹田研究会 – 理念

竹田研究会では日本の良さを中心に、日本神話や時事などの講座が全国各地で行なわれています。私もこれまで二回ほど参加し、有意義な話を聞くことができました。
今後も折々に参加してみようと思います。

詳細: 竹田研究会

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